国債とリスク・プレミアム

ギリシャの経済危機が騒がれたかと思うと、今度はスペイン、イタリア国債の問題が浮上してきました。

8月8日付El País紙は、欧州中央銀行がスペインおよびイタリア国債の暴落にブレーキをかけるため、介入政策をとる事を決定したと報じています。先週スタンダード・アンド・プアーズ社がUS国債の格付けを最も信頼度が高い水準から1段階引き下げたこともあり、ブラック・マンデーが再び起こる事が懸念されていました。この事態を避けるためにも今回の政策がとられる事になったようです。

このニュースによりスペイン国債のリスク・プレミアムが約300ベーシス・ポイント(bp)まで下がりました。今月初旬に一時400ベーシス・ポイント(bp)を超えたと報道され、話題になっているこのリスク・プレミアム(prima de riesgo)。

欧州で問題になっているリスク・プレミアムとは、国が市場で資金を調達する時に払う利回りを他国の利回りと比較した格差を意味します(参照:Wikipedia)。国の経済状況が良ければ、未返済リスクが少ないため低い利回りでも国債を売ることができる。逆に経済状況が悪ければ、未返済リスクが高いため、高い利回りでなければ売ることができないと言う事になります。つまり、リスクに応じて投資家より要求される超過収益の事を指します。ユーロ圏誕生当時は、共通の通貨を使用する為に、EU圏内の債権のリスクおよび国の経済状況の比較が難しいとされていました。よって、現在はこの利回りの格差が債権のリスクおよび国の経済状況の判断する時によく使用されています。

欧州では現在独連邦債が最も利回りが低い(リスクが低い)ので、リスク・プレミアムの規準となっています。また、判断に最も適しているとして、10年物の国債が通常比較の対象となっています。数値は1%を100ベーシス・ポイント(bp)と計算します。今月初め、独連邦債が市場で2%の利回りに対しスペインの利回りが6%であったため、スペイン国債と独連邦債との利回り格差、つまりリスク・プレミアムは、400ベーシス・ポイント(bp)となるのです。

以前はリスク・プレミアムという言葉をあまり聞かなかったように思えます。昨今の経済危機に加え、この突然のリスク・プレミアムのニュースで投資家の不安感は一層増し、経済危機を抜け出す日が遠のいていくのを感じました。不安を仰ぐニュースで市場は余計に混乱していると感じるのは私だけでしょうか。

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