CAMの破綻 責任の行方とカハを取り巻く問題

7月27日付la vanguardiaの新聞記事によると、サンタンデール銀行はアリカンテに本社を置くCAM(La Caja de Ahorros del Mediterráneo)の入札に参加する意思がまだある事を示唆した。とりあえず入札の様子をみてから決めるようだ。

CAMは、経営悪化のため今月22日に銀行業界再編基金(Fondo de Reestructuración Ordenada Bancaria (FROB))の経営管理下に移行され、後ほど入札に出すために一時的に国営化された、カハ(金融機関)である。今回はCAM自身の要請によりこの処置が採られた。CAMは去年、カハ・マドリッド等数社の合併提案を拒絶しており、スペイン中央銀行(Banco de España)は以前より他の金融機関と合併する以外に生き残る道はないとCAMへ数回警告した。もしこの時合併をしていればこの様な事態は避けられただろうと批判の声が上がっている。スペイン国民の中には何故CAM経営陣の尻拭いを国民の税金でしなければならないのか不満もあるようだ。日本の金融再生法による一連の騒ぎ思い出します。

CAMだけではなく、2008年の経済危機をきっかけに多くのカハが経営困難に落ちいりました。何故カハばかりこんなに経営困難に落ちてしまったのでしょうか。日本にはあまりなじみのないカハ。そもそもカハと銀行は何が違うのでしょうか。大きな違いは、カハは収益の一部を社会事業に充てる所にあります。そのため政治色が強く、経営陣の多くが銀行家というより政治家であった。銀行家ではないため、危機管理や経営が甘かった事が経営困難に落ちた一つの理由と言われています。そして安易な審査による住宅ローンのツケ等が2008年の経済危機で表面化してしまいました。

CAMの件に関しては、経営陣に対しても怒りを感じますが、スペイン中央銀行の管理の甘さも否めません。CAMが抱えている問題を知りつつ、決定的な行動を起こさなかったスペイン中央銀行の責任も追及するべきかもしれません。

余談ですが、この悪者になってしまったカハの制度、実を言うとすごく古い歴史があるんです。カハの前身はMontes de Piedadと呼ばれており、イタリアで初めて設立されました。時は15世紀まで遡ります。当時、高利貸しに苦しんでいた貧しい農民、商人を経済面で援助するためにフランシスカンにより設立されました。宝石や服などを担保にお金を貸すシステムでいわゆる質屋さんだったんですね。とても興味深い歴史をもつカハですが、その時勢に合うように、随時制度に変えていく必要があるのかもしれません。

ページトップへ